2013年4月19日金曜日

続・ドラマーはリズム刻んでりゃいいのか?

 まず、音楽を聴く際に、ヴォーカル・ギター・ピアノ・サックスなど全ての楽器を順に、個別に聞き分けてみましょう。色々なドラマーが世界中にいるようにヴォーカルも人それぞれ、ギターも人それぞれ個性的なプレイヤーがたくさんいます。音楽を聴く楽しみが何倍にも増えていきます。ついでに、この「各楽器を個別に聴き分ける能力」は、実際のバンド演奏の時に必須な能力でもあり、それはただ音楽を聴くだけでも鍛えられます。

 幸運にもバンド活動ができている方は、共演しているプレイヤーの音にもっと耳を傾けてみましょう。4人メンバーがいれば、4通りの考え方があり、しかもあなたが日々ドラム奏法を学んでいるように、メンバーのプレイも日々変わっていくものです。バンド、グループアンサンブルというものをまた違った観点から捉えられる事でしょう。

 個人的にお勧めしたいのは、機会があれば少しでも他の楽器を触ってみる事です。全然弾けなくて構いません。遊んでみる程度触るだけでも、少しは他の楽器への興味が湧いてきます。私は個人的にエレクトリック・ベースが大好きで、よく触っていた時期がありました。

 本格的に手がけるならば、ピアノかギターといったコード楽器が良いです。コードネームの意味が理解できて自分で演奏できれば、ドラムで参加する際に演奏する曲への理解が深まり、バンドの共演者とも盛んにコミュニケーションがとれます。
 
 このように、ハーモニーやメロディ、歌い方に対しての理解と感覚が深まると、ドラム演奏において楽曲に対してより多様なアプローチができるようになり、アンサンブルする意識が高まり、共演者とも音と言葉でコミュニケーションが出来るようになります

 こういうドラマーを指して「音楽的なドラマー」「音楽性の高いドラマー」と呼んだりします。リズムにしか関心のない「ただのドラマー」と、「音楽的なドラマー」が、表面的に全く同じパターンをずっと演奏し続けたとしても、両者は全然違って聴こえます。

 このブログをお読みの皆様には、是非とも「音楽的なドラマー」を目指していただきたいと思います。

ドラマーはリズム刻んでりゃいいのか?

 いけません

 ドラマーも、リズムだけではなくメロディー・和音・理論・各楽器の役割など、様々な音楽の要素に理解を深めていく必要があると私は思います。

 リズムにしか興味がなくリズムを刻む事しかできないドラマーの日常を追いましょう。

 ヴォーカル「ドラムさあ、AメロとBメロ雰囲気変えてくれない?」
 ドラム「…ごめん、どうしたらいいかわかんないや」

 ベーシスト「俺サビからこのパターンにしようと思うんだけど、どう?」
 ドラマー「…いいんじゃない?(ていうか聴いてなかった)」

 極端な話、リズムがあまりに強力で重宝されているドラマーもいるにはいますが、上記のように表現の幅が恐ろしく限られる上に、他の楽器のプレイヤーとほとんどコミュニケーションがとれません。もちろん、興味がなければ他のプレイヤーの音も聴かないので、アンサンブルもしません。こちらのブログを読んで下さる皆様には、絶対にこうなって欲しくないという思いがあります。

 では、どうすればいいでしょう?長くなりそうなので次に続きます。

2013年4月17日水曜日

ちょっと息抜きに

 Gene Krupa、「Sing Sing Sing」のドラムの人のあまりにも楽しい動画です。



 見ていただければおわかりでしょうが、この人はフレーズ効率の良さや技術の高さを見せたいのではなく、ただその場にいる人に楽しんでもらいたいという思いがすごく伝わってきます。これぞエンターティナーです。ジャズは本来エンターテインメントであり、ダンス・ミュージックでした。

 途中のドラム・ソロでの表情、まさに「顔で叩く」とはこの事です(笑)。

 ドラムの練習には様々な目的がありますが、ステージでエンターテインメントに集中し、これだけの余裕を持つために日々練習する、というのを大事な目的の一つにしていいでしょう。

 


2013年4月9日火曜日

基礎練習#3 2種類のダブル・ストローク

 前の記事の2種類のダブル・ストロークは、他のフレーズと同じく、メトロノームを使ってテンポを決めて練習した方が早く実践で使えるようになります。ではどんな練習方法が効果的でしょうか?

 以上、A・B・B'の3例を挙げてみました。

 まずAは、ダブル・ストロークA、リバウンドをフルに利用する方でしたね。親指を上にしたグリップでゆっくりリバウンドさせる事は技術に関係なく物理的に難しいため、そもそも遅くプレイする機会はほぼありません。ある程度の速さから練習を始めます。ここでは4分音符テンポ80からスタートしましょう。
 譜面の左半分は16分音符ですが、右半分の線がもう1本多い音符、これは32分音符です。メトロノームが一回鳴る間に8回叩きます。
 そんな難しいのができる訳ないだろとお怒りの方は、前半の16分音符の腕と手首の振りのまま、試しに1発ずつ打面に押し付けてみましょう。音がトトトトと止まってしまう場合は、少し押しを弱めていくとちょっとずつ勝手に跳ね返ります。リバウンドを少し利用した状態です。音はたくさんになってザザザザという音になります。
 このザザザザを、もう少し押しを弱めて調節し、パラパラパラパラと2発ずつにしたものが譜面Aの後半、ダブル・ストロークAです。この間、腕と手首の振りは16分音符の時と全く同じです。
 2発ずつに数が整ってきたら、なるべく2発を同じ音量にしていきましょう。腕・手首・指全体の力の掛け方を少しふわっとさせると音量がそろいます。このあたり、文字での解説の限界に挑戦している領域です。  譜面では16分音符と32分音符が2ブロックずつですが、倍の長さの4ブロックずつでも構いません。ポイントは、腕を振り下ろす回数が音符が変わっても一定であることです。


 

 次にB、ダブル・ストロークBの練習です。こちらはもっとゆっくりから、4分音符のテンポ60から始めましょう。
 こちらのポイントは、指をあまり使わずに腕と手首で音符を整える意識です。グリップに関しては、手の平と中指・薬指・小指でふわっと包み、腕全体と一体化したイメージで持つと演奏しやすいです。

 

 心がける事は2発目が小さくならず、同じ音量であることです。右側の32分音符がなかなか整わなければもっと遅いテンポから始めましょう。

 B'は、Bのフレーズを強化するための練習です。1発目をすごく小さく、2発目を大きく叩きます。コツは、1発目を叩いてすぐに振り上げ、2発目に向かう事です。ドラムでは、何かやる時に「遅れてしまう」理由のほとんどは、振り上げる・移動する等の「次のストロークへの準備が間に合っていない」からです。
 この、すぐに振り上げる動作は手首の強化には非常に良い練習になります。

 何度も言いますが、習得に時間がかかるものだと思って地道に取り組みましょう。
 
















2013年4月8日月曜日

ダブル・ストロークには2種類ある

 片手で行う2連打の事をダブル・ストロークと言います。

 まず、ダブル・ストロークには、私は2種類あると考えています。それぞれグリップ(スティックの持ち方・握り方)、腕・手首・指の使い方が違います。解説の為にそれぞれダブル・ストロークA、Bとします。

ダブル・ストロークA

 1つ目は、左右の手の甲を外向きに、親指を上にして構え、リバウンドを押さえつける奏法。腕1振りにつき2つ叩きます。1つ叩いてリバウンドしたスティックを押さえ、ついでにもう1発鳴らしてしまう感覚です。

 

 注意すべきは、放っておくと3発以上鳴ってしまうため、2発目の直後に素早くスティックを引き上げる事です。慣れてきたら、動画のようにスピードを上げていきます。この時、なるべくアクセントがつかないように、2発ずつが均一な音量・音色になるように気をつけましょう
 ダブル・ストロークAのメリットは、とにかく音がクリアな事と、速くて細かいプレイに適している事。デメリットは、遅いプレイに不向きで音量は出ない事です。ハイハットの細かいフィルイン、スネアの装飾音符等に応用します。

・ダブル・ストロークB

 もう一種類のダブル・ストロークの奏法は、ずばり「頑張って2発叩く奏法」です。
ともかく、動画をご覧になって下さい。



 普通に手の甲を上に構え、片手で2連打をしてみて下さい。2発目が小さくならないようにです。
ゆっくりだと可能ですが、スピードを上げていくとどうしても2発目が弱くなります。しかし頑張って練習し続けていくと、半年後くらいにはある程度のスピードでもしっかり2発叩けるようになります。もちろん速いスピードではリバウンドも多少使いますが、あくまで2発叩く延長上のものと考え、ダブル・ストロークAとの奏法と音の違いを意識しましょう。こればっかりは根気良く、速くなると信じて練習していただくしかありません。

 唯一、近道があるとすれば、多少強引ですが「1発目を弱く、2発目を強く叩く練習」をすれば、ダブル・ストロークBは効率良く強化できます。

 また、速いプレイの場合、1発目は普通に、2発目は手首中心でスティックを振ると演奏しやすいです。この時グリップに関しては、スティックを手の平全体もしくは中指・薬指・小指あたりで包んでなるべく手の中で動かないようにすると、手首を有効に使えます。
 ダブル・ストロークBは、特にスネア・タム・フロアタムによく使います。メリットは音量を出せる事、デメリットは、スティックコントロールを主に手首で行うため、小さい音量、細かいフレーズの演奏が難しい事です。

 以上、まずダブル・ストロークには2種類あるという事、それぞれグリップと奏法と音質が違う事を認識しましょう。片方だけしかマスターしていないと、音量が足りない・スピードに限界がある・コントロールし切れていないといった状態であるために、結果として何年やってもテクニックの幅が広がらない事につながります。何を隠そう、私橋本自身が、ダブル・ストロークBの存在を知り身につけたのはわずか数年前です。

 逆に、この2種類をマスターする過程で、スティックを引き上げるアップ・ストローク、手首でのスティック・コントロール、親指でのフィンガー・コントロールの3つの練習が同時に行えますので、マスターするまで時間はかかれど、違う面から見ると効率が良いようにも思います。
 この項目は、難易度が高く複数の技術が必要なので、特にドラムを始めて日が浅い方にはすぐにマスターできるものではありません。まずは2種類ある事を認識し、焦らず根気よく取り組みましょう。

 次回は、メトロノームを使ったダブル・ストロークの練習方法を公開します。

2013年4月4日木曜日

基礎練習#3 休符を鍛える②

今回は、「中抜き」フレーズです。


 メトロノームを4分音符でテンポ90にしましょう。
 
 まずは①、8分休符の練習です。2拍目と4拍目だけが裏打ちですが、ついついここの裏が遅れがちになるので注意しましょう。この裏打ちが遅れると、影響されて次の頭の音、1拍目と3拍目も遅れ、全体がもたってしまいます。

 次に②、3連符の中抜きです。これも左手が遅れがちになるので気をつけましょう。感覚がすぐにつかめない方は、慣れるまでメトロノームを3連符モードで鳴らし、右手と左手がメトロノームにちゃんと合うまでやってみましょう。慣れてきたらメトロノームを4分音符モードに戻し、自力で3連符を感じながら、左手がその三つ目に入るように心がけます。

 最後に③。ちょっと難しいですが、16分音符の中二つ抜きです。②と同様、慣れるまで16分音符モードで左手が入るタイミングを確認、慣れたら4分音符に戻して自力で16分音符を感じましょう。

 最も重要なのは、②と③の違いをはっきりと叩き分けることです。②はどうしても休符を長くしすぎ、③はどうしても休符を短くしすぎになりがちです。その結果②と③は、ほぼ同じフレーズになってしまいます。
 動画も添付しておきます。

 それぞれ3連、16分の細かい音符がしっかり感じられているかどうかが、この練習によってあぶり出されます。楽器を問わず、安心して聴けるプレイヤーは古今東西皆、16分音符などの細かい音符と全音符などの大きな音符を同時に感じながら演奏できるので、非常に正確なタイミングで演奏できます。正確さの精度が上がれば上がるほど、タイミングを意識せずに自由な表現ができるようになると、私は考えます。

 ひらたく言うと「こんなチマチマしたことをライブ中に気にしながら叩くんだったら、あらかじめうちでやっとけばいい話」。楽しく本番を迎えるために、チマチマした基礎練習を今のうちにやっておきましょう!